インドネシアから見たQuipperのプロダクト開発

自己紹介とインドネシア進捗

こんにちは、Quipper創業メンバーで、現在Quipper Indonesiaのカントリーマネージャーをやっている本間拓也です。簡単に、(プロダクトブログですので)インドネシア展開の現状についてプロダクトチームとの関わりも含めて、ご紹介させていただければと思います。

Quipperはもともとイギリスで創業された会社なのですが、2014年からアジア展開をしてきました。そのあたりの温度感に関しては以前Wantedlyブログなどに書いたので、ご参照ください。

「ユーザーと共創する」

「異文化の組織を成長させるために大事にしている3つのこと」

「新興国で急成長する「Quipper」の躍進」

フィリピン、インドネシアベトナム、タイ、メキシコ、といった国々でQuipperを展開していますが、その中でも2016年はインドネシアで大きく組織を拡大しました。40人程度のチームから、数ヶ月で、契約社員も含め500人を超える組織に成長し、「インドネシアNo.1オンライン教育サービス」としての地位を確立しました。

*インドネシア拠点の従業員の集合写真 f:id:quipper-ja:20161226172254p:plain

*学校で撮影した写真 f:id:quipper-ja:20161226172309p:plain

その過程で、多くの「成長痛」を経験しました。バックオフィス機能を強化する、10以上の支店を同時に立ち上げる、巨大テレセールス部隊をゼロから作る(CRM等のツールも含め)、営業トレーニングの仕組みを作る、テレビCMの制作、組織図・レポートラインを整理する、優秀マネージャー層の採用・育成、プロダクトチームの立ち上げ、顧客接点の強化、などなど、やらなければいけないことが常に山のようにあり、とてもヒリヒリする、がしかしとても楽しく充実した1年間でした。インドネシアという、いまだに「terima kasih (ありがとう)」くらいしか言えない国で上記を推進していかなければならないという難しさもありました(Google翻訳には日頃からとてもお世話になっています)。

一つ一つ丁寧にやってきて、いろいろ語りたいことはあるのですが(お話し聞いてくださるという方、ご連絡ください)、細かすぎるので割愛します。ただ、今年この事業展開をするにあたって強く意識していたことは、「Don’t reinvent the wheel(自分で再発明しない)」ということでした。これだけイシューがてんこ盛りで、かつタイトなスケジュールで運営している中で、無邪気に試行錯誤をしている余裕はあまりありません。なので、「これらのことを経験したことがあるであろう人たち」にひたすらヒアリングをし、壁打ち相手になっていただきながら進めていくことを意識しました。

インドネシアには、Go-jek、Grab、Traveloka、と言った、数十億-数百億円の投資を受け、Quipperよりもさらに早いペースで拡大しているスタートアップがあります。そういった会社のコアメンバーに(ほぼcold callに近い形で)連絡を取り、とても多くのことを教えていただきました。陥りやすい罠、リードタイムが長いので早めに手を打っておくべきこと、重要なネットワーク、各種施策ノウハウ、など非常に有意義なアドバイスを山ほどもらいました。インドネシアを始めとする東南アジア諸国では、スタートアップ創業者・コアメンバー、投資家など、ベンチャーエコシステムが凄まじいスピードで形成されていて、これから近い未来で日本に追いつけ追い越せという構図になっていくんだろうな、というのを肌で感じます。

また、親会社であるリクルートのノウハウも最大限吸収しました。知る人ぞ知る名書「Hot Pepper ミラクルストーリー (https://goo.gl/cM0FAp) 」の10回熟読は当然として、実際に当初のHot Pepper立ち上げ中心メンバーへのインタビュー、各事業部から営業・マーケ資料をかき集めて英語に翻訳して現地メンバーへの落とし込みなど、リクルートをしゃぶり尽くしています。しゃぶってもしゃぶってもどんどんさらにすごいものが出てくるという意味で、とてもおもしろい会社である、と思っています。

インドネシアから見たQuipperのプロダクト開発

そんなこんなで日々奮闘中ですが、この環境におけるプロダクト開発に関してもいろいろ思うところがあります(やっと本題!)。このブログの過去エントリーも参照にしていただきたいですが、Quipperには、

  1. グローバル開発環境で(開発者が5カ国に散らばる)

  2. 世界共通のプラットフォーム開発を志向しながら

  3. メインマーケットがThe先進国の日本とThe新興国インドネシアになっている

などの特殊性があると思っています。

その中で、まあまあうまくやっているのではないかと思う2点と、これから頑張らなければと感じる1点をご紹介します。

まず、まあまあうまくいっていることの1点目は、「開発者・デザイナー・プロダクトチームがしっかり現地ユーザーを見ていること」です。当たり前といえば当たり前ですが、イギリスや日本からインドネシアやフィリピンのユーザーを見に来るのはなかなか大変です。Quipperは、新しく入ったメンバーを除くと、ほとんどのプロダクトメンバーがインドネシアやフィリピンに一度は訪れて、学校訪問なり、ユーザーグループインタビューなどを行っていると思います(新メンバーもいずれは来てくれると思っています!)。

この当たり前に思えることは非常に重要だと思っていて、やはり先進国と新興国では、インフラの発展具合であるとか、それに応じたユーザー行動が全く違ってきます。通信が遅い・途切れるのは当たり前の環境でのユーザーの動き方、PCを完全にすっ飛ばして国全体としてモバイルファーストな人たちのサービスの捉え方、クーポン・無料サービスへの食いつき具合、小さな画面でも全く気にせずサービスをすいすい使いこなす様子など、言葉では言い表せないような衝撃が日常茶飯事のように目につきます。こういったことは、やはり一度は現地を訪れてしっかりと自分の目で見てみないとわからないのではないか、と思っています。新興国にサービスを展開していないプロダクトの人にとっても、パラダイムを揺るがすという意味で、新興国訪問おすすめです。

2点目は、いわゆる「プロダクト側とビジネス側の良好な関係」です。あまりこういう分け方もよろしくないですが(今回はシンプルにするためにこういう分け方にします)、一般的には、油断すると簡単にプロダクトvsビジネス(Geek vs Suit)という構図になってしまうと思います。Quipperではさらに、プロダクトメンバーとビジネスメンバーが同じ場所/国にいない、ということが頻繁に起こるため、上手にやらないといろいろ不都合が生じてきてしまう可能性があります。

これを解決するために、様々な工夫をしています。まずは、CTO中野の過去エントリー(http://blog.madoro.org/mn/100 )にもあるように、そもそもビジネス側にしっかり理解のあるプロダクトメンバーを採用することを意識しています。ここをしっかり担保することで、新しい施策・機能を提案するのも、一緒に仕様策定していくのも、リリース後にモニタリングして継続改善していくのも、非常にストレスフリーでやりやすいです。ビジネス側が達成したいこと、その背景、そして細かいKPIもちゃんと共有し、one teamとして事業を推進している状況を作れているのは、非常に好ましいと思っています。逆に、ビジネス側も積極的にSQLを叩いたり、ワイヤーフレームを作ったり、いい意味でどんどん境目が曖昧になってきています。プロジェクト毎に行われる360°評価も、ビジネス・プロダクト混合でやっています。下記スクリーンショットにあるような、1つのIssueに対して、開発者、デザイナー、マーケティングチーム、コンテンツチーム、プロダクトマネージャー(それも複数の国から)、がしっかりと圧倒的当事者意識を持って貢献しているのは、望ましい姿かと思います。

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一方で、1点頑張らなければと思っているのは、「展開国もユーザー(とそれに伴う機能要望)も増え続ける中で、シンプルで使いやすいという良さを維持しながらプラットフォームを進化させていくこと」です。Quipperには、生徒・先生、という2種類のユーザーが存在し、前述のように展開国も多いです。そんな中、ユーザーからは数多くの、そして非常に多種多様な要望をいただきます。通信が遅いならではの要望、異なるITリテラシーがもたらす同じユーザー層からの異なる要望、学校インフラが整ってないことに起因する要望、言語・宗教による要望など、本当に多種多様です。

もちろん全てのユーザーに最大限まで満足していただきたいものの、対応できる量には限界がありますし、ユーザーAにとって重要な機能はユーザーBにとっては不必要であるどころか邪魔になってしまうようなトレードオフも頻繁に発生します。グローバルプラットフォームを展開する中で、ベトナムマーケティングチームにとって重要な開発が、メキシコのセールスチームの行動の足枷になってしまうといったケースも数多く起こります。

そういった問題の発生を防ぎつつ、スピード感を維持しながら、ユーザーファーストで開発を続けるにはどうすればよいのか。これは非常に深淵な問いで、Quipperも試行錯誤を続けながら最適解を見つけていく必要があります。各国間のコミュニケーションの質を高める、プロダクトマネージャーの担当範囲を拡げかつ明確にしていく、上記「プロダクト側とビジネス側の良好な関係」の更なるレベルアップに努める、などありますが、おそらくいわゆる「Silver bullet(銀の弾丸)」は存在せず、「やるべきことを、ちゃんとやる」というCTO中野がマントラのように言い続けるQuipper開発の原点のようなところに立ち返り続けることになるのでしょう。

まとめ

といった感じで、インドネシアのビジネス拡大の現状と、そこから見えるQuipperプロダクト開発に関して、徒然とまとめてみました。もちろん、これは僕の視点からのQuipper像であり、主観に満ち溢れていると思います。「Diversity」をQuipper Identitiesの一つに掲げる中で、他メンバーがどのように思考し、プロダクト開発に向き合っているのか、このブログの今後の更新を一読者として楽しみにしつつ、筆を置きたいと思います(もちろん筆で書いてはいないですが)。

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