オファー後のフォロー会食と、コミュニケーションの対称性

こんにちは。Quipper で SRE をやっている @yuya-takeyama です。 最近の趣味は英語学習とご飯をよく噛んで味わって食べることです。

直近で Quipper における採用の周辺の話題が続いているので、今日はオファー後のフォロー会食というものについて紹介したいと思います。

オファー後のフォロー会食とは

ここでいうオファーというのは採用フローにおける内定オファーのことです。 内定オファーにはもちろん給与といった具体的な条件も提示されているので、応募者としてはそれを「受諾」するか「拒否」するかの二択を迫られている状況です。

そのような状況において、開かれたり開かれなかったりするのがフォロー会食です。 応募者と、Quipper 社員 2 ~ 3 名程度で会食を行い、不安の解消や情報交換など、色々お話をするというものです。

私は何度かそういった場に Quipper 社員として参加しており、その後応募者だった方が内定承諾し、入社してもらう、ということを複数回経験しています。 もちろん、私自身はいてもいなくても内定承諾していた可能性もありますし、何ならフォロー会食自体なくてもそうだったかもしれません。

内定承諾につながらなかったケースも、もちろんありました。 しかし、それは深くお話をした結果、やりたいことや条件を熟考しての決断なので、こちらとしては尊重するほかありません。 長期的には、安易に Quipper に入社してしまう場合よりも、両者にとって良い結果になると信じているからです。

フォロー会食の意図

フォロー会食の意図というのは、実を言うと今まで明確に語られたことがあるわけではありません。 なので、ここに書いてある内容は、これまで Quipper で採用活動に関わってきた経験だったり、その中で得られた教訓や、採用以外も含めた様々な活動の中から私個人が勝手に読み取った内容です。 なので、読みが甘い部分もあると思いますし、深読みし過ぎている部分もあるとは思いますが、それでも読んでやろうと言う方は先にお進みください。

ここの意図は、例えば Quipper の採用面接ガイドにおける「ミスマッチこそが採用活動における最大の失敗」という言葉にも集約されていると思います。

意図を明示するのが難しいことに気づいたので、ここからは例示に頼ってみようと思います。

フォロー会食で何を話すか

フォロー会食の場で話すのは「Quipper の良いこと」だったり「Quipper の現状の課題」だったり「応募者に期待すること」だったり「応募者にとってチャレンジになるであろうこと」だったり、様々です。 ここに関しても明確な取り決めがあるわけではなく、基本的には即興的にしか行われないと思っています。 まぁ、私が参加していない会食でいうと、他の Quipper 社員が何を話しているかは正確には知りようがないので、あくまでも私個人の話ですが。

まぁでも「良いことも悪いことも包み隠さず話す」という点においてははだいたいみんな共通しているのでは、と期待しています。

ちょっと特殊な事例として、応募者の方が入社先として迷っているもう一方の会社の元社員の方がたまたま Quipper に在籍していたので、一緒に参加してもらったことがありました。 つまり、採用においての競合先の元社員です。 (事業的に競合しているわけではありませんでした) その人は開発者ではなく、もちろん普段は開発者の採用活動に関わっているわけではないので、この時はその人を指名した私の意図をしっかり説明して臨みました。

説明したのはだいたい以下のような内容であったと記憶しています。

  • 競合先であるその会社 (以下「その会社」とします) の良いことも悪いことも包み隠さず話してほしい
  • そういう文脈において「なんで『その会社』を辞めたか」を話すのはもちろんあり
  • だが逆に、話をする中で応募者の方が「『その会社』においてどのような活躍ができそうか」、といったこともしっかり話して欲しい

もちろん、その人は「その会社」を既に退職しているわけなので、情報が古いこともあると思いますし、その人の主観が実情から乖離している可能性だってあると思います。 が、それは Quipper 社員が語る Quipper の実情においても同じことが言えます。

少なくとも、事実を捻じ曲げたり、主観を押し付け過ぎてないかには最大限注意を払う必要があると思います。 (人間はどこまでいっても主観からは抜け出せないのは、それはそうとしか言いようがありませんが)

情報の非対称性の解消

ちょうど先日、この辺りの考え方についてうまく言い表されている tweet を見つけました。

この「情報の非対称性」というのは重要な概念だなと直感しました。

ここからは以下のようなストーリーが見えてきます。

  • 「情報の非対称性」を解消するために、まずは業務委託という形で働いてもらう
    • 「全員がそうである」とは書いてないので、そういうケースもある、ぐらいの話だと想像します
  • 「情報の非対称性」を解消する指向性が強いからこそ、それに魅力を感じ、業務委託から社員になりたくなる人が多い
    • 「情報の非対称性」を解消する指向性それ自体というよりは、それにより生み出された仕事のあり方そのもの、といったほうが近いのではと想像します
  • そういったものの積み重ねで、社員ではなく業務委託として働いてもらう場合のリスクを低く見積れる

まぁ私は LayerX さんに個人的な知り合いもいないし、実際に話したことがあるわけでもないので、読みが甘い部分もあると思いますし、深読みし過ぎている部分もあるとは思いますが。 (※これをお読みの LayerX 社の方、訂正が必要であれば Twitter@yuya_takeyama までご連絡ください)

コミュニケーションの対称性

ですが、ここでは敢えて「コミュニケーションの対称性」という言葉をタイトルに選んでみました。 これは私が最近たまたま全く別の文脈で使っている言葉だったので、私個人としてはこちらの方がしっくりきます。 私自身は社内外で最近この言葉をよく使っていますが、この言葉自体は現状 Quipper で私以外の人が使っているところを観測したことはないと記憶しています。

どういう文脈で使っているかというと、Engineering Manager としてのチームへの関わり方や、SRE としての開発チームとの関わり方についてです。

ここでいう「コミュニケーション」は「対話」のことです。 「対話」というのは「双方向である」ということです。

当たり前だと思われるかもしれませんが、完全に対称的なコミュニケーションというのは至難の技だと思っています。 例えば Engineering Manager として 1 on 1 に臨む際、「傾聴が大事」だと頭ではわかっていても、つい喋り過ぎてしまうことがあります。 また例えば SRE として、本来はプロダクト開発を前に進めるための「自己完結チーム」のあり方を、「SRE が楽をできるやり方」をベースに考えたり話したりしてしまうことがあります。

一方で、私たちはそういう「正解ではない何か」を通じてしか、「本当の正解」に近づけない、という感覚もなんとなくあります。 プロダクトを使ってもらうには、本来は「良いプロダクト」を作るのが正しいですが、TV CM 等を通じてとりあえず知ってもらい、使ってもらい、数字やユーザの声というフィードバックを得ることでしか「良いプロダクト」のあり方を考えることができないのと似ています。

情報の非対称性を解消するには、コミュニケーションの対称性、つまり対話が大事なのではというところに書いてる途中で思い至ったので、途中でタイトルに書き加えたところです。

採用は競争ではない

さっきは話の流れで便宜上「その会社」について「採用においての競合先」と書きましたが、私たちは採用において競争をしているんでしょうか。 私はそういう面も否定はできないと思いますが、究極的には違うと思っています。

Quipper にとって理想は「良い候補者が Quipper に入社して活躍し、それを通じて成長できる環境を提供すること」だと思います。 「活躍」と「成長」については、文としてはこのように書きましたが、そこに主従関係はないと思います。 それぞれが相互に関連し合っているというのがより近いのではないでしょうか。

理想は上記だとして、実際はそれぞれの要素が少し足りなかったり全然足りなかったりすると思います。 もし会社・候補者のどちらが大きく割りを食う場合、長期的にはどちらも不幸になると考えます。 例えば、ある領域に高いスキルを持っている候補者が入社したが、そのスキルは Quipper で必要とされていないというような場合です。 それだったら無理して Quipper に来てもらうよりも、そのスキルを本当に活かせる別企業に入社してもらった方がお互いの幸福に近づけるでしょう。 (もちろん、その別企業が事業的に競合している会社だったりすると、話が難しくはなるんですが、それはそれとして)

また、それは完全にコントロールすることはできないものだと思います。 入社後に、本来期待していたのとは違うあり方で活躍されることはよくあることですし、もしかしたらそういうことの方が多いかもしれません。

ですが、少なくとも、事実を捻じ曲げた情報を元に判断をされてしまうと、その歪みは徐々に大きくなり、ミスマッチという結果に繋がると、私は信じています。 逆にいうと、対称的なコミュニケーションを通じてそのリスクをできる限り抑えることにエネルギーを投じています。

会食自体も、ある種外発的な動機を刺激する側面はあるはずなので、「良い会社」の判断基準を捻じ曲げている部分がゼロではないと思います。 ですがそれでも、「受諾」するか「拒否」するかという二択の状況において、「まぁご飯でも食べながら」という口実で対話を重ねた結果、「より良い採用」「より良い入社」に少しでも歩み寄れるのではれば、そこに採用予算を使うことは合理的なこともあるだろうし、そうではないこともあるだろうなということは言えると思います。 それが合理的にならない事態としては、例えば「面接の中で伝えることは全部伝えた。これ以上伝えることはない」というまな板の上の鯉のような心持ちのこともあるだろうし、採用予算がもう残り少ない、ということももしかしたらあるかもしれません。

まぁ、それについては誰かから具体的に判断基準を聞いたわけではないので、読みが甘い部分もあると思いますし、深読みし過ぎている部分もあるとは思いますが。

まとめ

皆さんの会社でも採用フローの中で、フォロー後の会食を行ってみると良いことがあるかもしれませんし、そうではないかもしれません。